民法の大改正が、早ければ来年の通常国会に提出される見込みです。改正されれば120年ぶりの大改正となる見込みです。不動産に関連する改正が複数存在するので、個別にご紹介していきたいと思います。
まず第一回目は、建物賃貸借における原状回復義務についての改正です。
賃貸借建物退去時の貸主側の敷金返還債務に関連し、故意でつけた傷や、タバコでの焼け焦げなど賃借人の過失による損耗についての修繕費用については、敷金から控除できても、日照による畳や壁の色落ちやその他経年劣化による通常損耗などは貸主側の負担と民法に明文化されることとなります。現状でも、国土交通省のガイドラインや判例などが存在することから実務的には大幅な変更はないのですが、民法改正によってより明確な定めとなります。この規定に反する賃貸借契約を貸主借主間で締結することも可能ですが、個人賃借人との間での特約は消費者契約法により無効となります。(法人賃借人との契約ではその特約は有効です。)