本日、16時58分から放送される朝日放送「キャスト」から当社代表者が取材を受けました。3月18日に国土交通省が発表した平成27年1月1日時点の公示地価で、ミナミエリアの商業地の上昇率が上位を占めており、その要因を分析するという主旨でした。
短時間の取材では、中々全ての要因をお伝えできないので、整理して記載させて頂きたいと考えております。
大阪の土地価格全体としては、リーマンショックからの立ち直り、金融緩和による金融資産での運用難の状況があり不動産での資産運用に資金が流れてきていること、円安により海外の不動産投資家からみて日本の不動産価格が割安に見えることなどから、全体的に徐々に土地価格が上昇している状況にあります。ただし、その上昇については、全ての土地が一律に上昇している訳ではなく、利用価値の高い土地は大きく値をあげる一方、利用価値の低い土地は逆に値を下げるという二極化が鮮明となっております。
そのような状況の中、利用価値が高い(=その土地で商売を行った場合に多くの売上が計上できる)土地というのがどういう土地なのかについて、ここ5年で大きく変化してきています。5年前は、賃貸マンションや、分譲マンションを建てられる土地が最も利用価値が高いという環境でしたが、約3-5年前には老人ホームなどのシニア施設を建てられる土地が最も利用価値が高いという環境に変化し、最近では訪日外国人客向けの施設(商業施設・ホテル)などを建てられる土地が最も利用価値が高いという環境に変化してきています。
訪日外国人の増加や爆買いが大きく報道されるようになり、街で多くの外国人の方を見るようになりましたが、日本全国の都市の中でも大阪は特に強く恩恵を受けています。理由としては、過去の訪日外国人の方々の日本での動きは、成田空港で日本に入国し東京に滞在し、新幹線で京都観光をしたり、飛行機で他の都市を観光したりという状況であり、大阪に観光に来る方は京都まで来たついでに大阪に立ち寄るというのが中心でしたが、関西国際空港へのLCCの就航により大阪から日本に入国する方が増加したことにより、大阪に数日滞在し大阪観光をされる方が大幅に増加していることが主因です。また、大阪は過去、訪日外国人観光客が少なく、ほぼ需要が無かった状態から、一気に需要が増加しているという事実もあります。特にホテルは、訪日外国人を想定した客室がほぼ存在していなかったことから、ホテルの客室が全く足らない状態となっており、新しいホテル建設の土地を多くのホテルプレーヤーが奪い合いする状況となっています。
将来もこの状況が継続するのかについて、「今は円安だから訪日外国人が増えているが、円高にふれたら一気に訪日外国人は減る。あくまで一過性の流れ。」という見方をされる方も多いのです。確かに円安が追い風になっている側面は否定できませんが、2000年や2006年の円安の際に現在の規模で訪日外国人客が大幅に増加しているかといえば全くそうではないです。円安要因もありますが、最も大きい要因は日本の近隣諸国(中国・韓国・東南アジア)が経済力を持ち始め、旅行にお金をかけれるようになっていることであると考えます。(日本と近隣諸国の経済格差が縮まったことにより、近隣諸国の人々が日本に旅行に来れるようになった)
つまり、経済動向、為替動向、政治状況によって当然、訪日外国人客が大きく増減することは考えられますが、近隣諸国の人々が海外旅行にでかけられるようになったこと、海外旅行に出かける人々のうち何割かの人々が近くの国である日本に旅行するというトレンドが大きく変化することはないと考えられるため、一過性の流れという見方より、大きなトレンドになっているという見方の方が信ぴょう性が高いと考えられます。
近隣諸国からの訪日外国人客が持つ大阪のイメージは、道頓堀、心斎橋エリアのイメージであり、多くの方がミナミエリアでの宿泊やショッピングを希望されている現状があります。ミナミエリアは、キタのグランフロント開業や、阿倍野の再開発の影響で数年前まで商業的に非常に厳しい状況になっておりましたが、訪日外国人客の多くがミナミに集まるようになったため、数年で様変わりしています。商業的に一番賑いがある場所の不動産が一番上昇するという当たり前の理由で、大阪の公示地価の中でもミナミエリアの商業地が突出して上昇しているのです。
今まで暗いニュースしかなかった大阪ですが、LCC就航による関西国際空港、商業地の復活、USJの盛況、カジノの開業可能性など明るいニュースが増えてきております。また関西国際空港の民営化により発着料を下げれる可能性もあり、更に多くの航空会社が関西国際空港に就航する可能性もあります。それらの可能性を民間の力が活かして、日本第二の都市である大阪が更に明るくなればと期待しております。